小池正浩

 むちゃくちゃ荒れてますね。いろいろ年明けから大変だっていうのに、暮れから大荒れに荒れて混乱しているみたいです。ちらほら一連の騒動を窺っていてどうも首をひねらざるをえないのは、世間の反応やマスメディアの報道。ファーストリアクションが本人のコメントも所属事務所の声明も相当まずかったですが、それに輪をかけてひどかったのが業界の対応。  一般素人であろうと報道機関であろうと、とにかくまず当該事実じたいの確証をある程度は得るなり最低限は数そろえたりするなりしてから発信すべきでしょう。相も変わらず知るばかりで考えないというか、情報を大量かつスピーディに感受する一方で、慎重に時間をかけて自分で精査することをしないよなと。程度の低いネットニュースや動画配信はまあ当然とはいえ、各メディアも週刊誌でこういう記事が載りましたってただ追認するのがほとんど。  争点はもうはっきりしていて、当人がそうした『行為』や『加害』はなかったと主張しているのだから、コンパ的な飲み会を催したことそれじたいはつまり否定してない。妻帯者がそういった場ではめを外すのはどうなのと倫理的に問うのは、やったほうも問題視するほうも人の勝手なので勝手に騒いでくれってなもんですが、そういった場を利用して合意形成がなされるように、なされたかのようにこざかしく仕組み誘導して『行為』ましてや『加害』におよんだとしたら、しかもこのように問題化したときのためにあらかじめ偽装工作がなされていたとするなら破廉恥も卑劣漢もはなはだしい、としてもそれはまた別問題ですし、法廷で争うべき案件。このへんはごっちゃにせず、はっきり分けておいたほうがいいでしょう。  芸能界の悪しき慣習や「笑い」の質の低下にかんしてもそう。今回の件といっしょくたにしてディスるべきではない。間接的にはたしかに関連してはいても、ちゃんとフェアに建設的に論ずべき。というか、ここにも批評の不在が問題の根にあるような気がしてならない。もとより平素からカリスマ的芸人や神格化された芸風が対象であっても公正に、多角的にも評価し活発に議論されてなかったのが遠因ではないか。  皆が皆SNSでコメントしたくて大喜利したくてしょうがないのかもしれませんが、もし事件が事実だったとしたら何年経とうがいまも被害に苦しむ人が現にいるわけで、もしそうなら責任とれんのあんたら取り返しつかないよって話。
2件

この投稿に対するコメントはありません