稲着よふみ

未明から生まれる物語
コミュニティでお見かけした「【相互】立春のペコメ・感想企画」に参加させていただきます。作品一覧を拝見した際、惹かれる作品が他にもあったのですが、ひとこと紹介文が一番衝撃的だったので『未明にて』の感想を失礼します。 まず、何と言っても時間帯に興味を惹かれました。待ち合わせにしては早すぎます。 本文の前にあらすじを読んだので、時間帯の謎はすぐに解けました。しかし今度はタグの「切ない」が目に留まりました。個人的に切ない話が好きなので、ますます期待が高まりました。 冒頭の情景描写で、未明の世界にすっと引き込まれます。「また読んでる、それ」と「また飲んでる、それ」が対になっているところが好きです。 偶然に偶然が重なり、必然として少しずつ深まっていく関係が素敵です。 回想後の6ページで、雨について語る「彼女」も印象的でした。雨足が強いほど音も大きくなるからでしょうか。「守られている」というセリフのおかげで、視野が広がった気がします。 肝心の「切ない」は11ページから感じました。突然の別れに、交わされた約束。胸が締めつけられる展開が続いた後の14ページ(最終話)で心が震えました。 細部にわたる丁寧な描写で、書き手としての学びも得られる物語でした。ありがとうございます。 トピックで薦められていた作品も、後ほど読ませていただこうと思います。

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