小波ほたる

一番華やかな表現。でも、一番苦しい感情。
本作を読んでから3年越し(!)に、作中に登場するあのパフォーマンスを初めて実際に観に行きました。 幻想的で華やか、まさに「魅力する」ものでしたが、でも何より印象的だったことがあって。 あいつらは、水槽の中で過ごす普段の長い時間よりもあのたった5分間の方がきっと遥かに速く泳いでるはずなのに、遠くから見てるとまるでスローモーションのように映る。 彼もそうなのかもしれないなと、本編を再度読んで思いました。 この土地に来る時、気持ちはいつもより激しく、必死に何かを訴えかけようとする。でも周囲に見えてるのは、ゆったりと時間を持て余す少し変わった青年の姿。 そんな表面と胸の内のギャップを、巧みな情景描写を絡ませて淡々と語っている。そしてそのトーンでこそ、本心にある苦さとか悔しさとかが滲んで出る。読了後も、それは消えない。 立ち上げた創作イベントの縁でこれを読んだ時は、企画主宰という立場を忘れて大好きだと思いましたが、3年たっても変わってないな、と感動しました。 その感動と出会えて感謝です。
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コメントありがとうございます🙇‍♀️ 幾度もしっかりと読み込んで下さったことが伝わる文章にこちらも感動しております!
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