黒沢えりか

犬上御田鍬の波乱に満ちた彼の異聞録!
 イベント参加ありがとうございます。  犬上は15年前に隋に渡った最後の遣隋使であった。今は隋は滅んて唐が隋よりも栄えている。舒明天皇から最初の遣唐使の命を受けた犬上は、漠然とした不安を家族に話そうと思った。  「ただ今、帰った」  質素な木の戸の前に立ち、ガタガタと戸を引いた。  「お帰りなさいませ」  妻の声が聞こえるはずだった。  しかし、戸を開けた向こうの空間にいた女子が、「勝手に開けないでよ。勉強してるんだから」こちらを振り向いた女子と目があった。    「誰ですが?」  「あ、いや」  「答えないと警察呼びますよ」     「待ってくれ。話せば分かる」  「誰?」  「犬上御田鍬」  「あなたは犬よ」  「そんなぁ」  「あなたにそんな権利ないわ」  「イヌさん。あなたはタイムスリップしてきたのよ」  「は、はぁ」 女子校生はスマホで調べる。 「最初の遣唐使!凄いじゃん」 「凄いのか」 「凄いよ。ちゃんと書いてある。イヌは仕事を全うして帰ってくるって」 「俺、帰るよ」 「どうしたの?」  「ありがとう。1000年以上経った今も日本でよかった。未来の日本を宜しく」  その言葉を言いながら犬上の姿は徐々に薄れて消えていく。  「昔のイヌカミさまも頑張っている事だし、未来のイヌカミも頑張っちゃうかな」  そう呟いて勉強机に向かった。 最後まで面白く読ませて頂きました。 イヌと女子校生の会話。 タイムスリップ。スマホ。 凄いですね。普通の文章力じゃないですね。 良い作品に出会えたことに感謝!
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素敵なイベントの企画、並びに感想コメントをありがとうございました。犬上御田鍬、という人物を僕自身よく知らなかったので勉強しつつ、執筆を進めていました。歴史というよりは、コメディ、ファンタジー要素のほうが強い作品となりましたが、まあそれでも良かったのかなと。黒沢さんのお言葉の一つ一つが嬉しいです。レビュー、ありがとうございます✨✨感謝申し上げます!
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