IRIS

目覚まし時計のくせに、名前があるらしく、彼は『オロ』といった。 部屋から出て、一階に降りたレオは、あからさまに溜め息をつく。 何故、目覚まし時計が、人に変身したのだろうか。 「はぁ……」 ふと、勝手に付いてきた、オロが呟いた。 「溜め息すると、幸せが逃げるらしいよ?」 「あんたのせいだ、あんたの!」 オロが口を挟むと、レオは荒々しく声を張り上げた。 「ふぇん、冷たい( ノω;`)」 泣き真似をするオロを無視して、彼は朝ごはんの準備を始める。 学校に行くのに、朝食抜きでは、やってられない。 「レオ~私を無視して、何してんの?」 「あんたに構ってる暇はない。俺は朝ごはんの準備を……って、ん?」 何故名乗ってもいないのに、自分の名前を、彼は知っているのだろうか。 「何で俺の名を――」 「これ、なぁーんだ?」 オロの手にあるのは、手のひらサイズの手帳『生徒手帳』だった。 「レオ・ゼウスタって、言うのか……いい、名前だね」 堪らず、レオは駆け出した。 「てめっ、帰せ!」 「やだよっ! 今日、学校休んで、遊ぼうよ~」 「誰がするか!!」 それから二人は、生徒手帳を巡って、争いを繰り広げた。 【レオ「帰せっ!!」 オロ「やーだよん♪」】
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帰せ→返せ ですm(__)m

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