宙水

鼓動を感じる(!)シュークリームの描写が秀逸です。
ネタバレあります。物語を未読の方はご注意! いつも笑っていようとするハルくんは芯が強くて心の優しい青年ですね。その、ざっくばらんな物言いが境遇の悲哀をやわらげていて、璃子ちゃんとの軽妙な遣り取りに微笑ましさをおぼえます。頁を次へ次へと繰りたくなる構成、前後する時系列もわかりやすく、文体も無駄なく読みやすくて、物語に引き込まれます。とりわけ、ケーキの描写が秀逸!!殊に、試作品のシュークリームと潰してしまったシュークリーム、想いが通じあった日のシュークリーム、そして、璃子ちゃんが泣きながら食べた新商品のシュークリームの描写と意図が素晴らしいです。シュークリームに鼓動を感じるというのは、おかしな表現ですが、それぐらいに描写が生きています。 璃子ちゃんから<形を崩そうが中身は一緒だ>という心情が出たとき、その寂しげなシュークリームと同じように、私の心もギュッと掴まれる哀しみを感じました。二人の想いが通じあった日には、シュークリームは堂々と自信たっぷりに璃子ちゃんを見上げ、更にハルくんの生きた証をお兄さんが完成までもっていった『新商品のシュークリーム』は、もう、何だか感無量で……。『キラキラ』『甘味と塩味』その描写のすべてに璃子ちゃんとハルくんの二ヶ月間が美しく込められているようで、涙腺崩壊です😢 字も見えないほど悲しいのに口元は綻んでいて、このシュークリームのように多幸感でいっぱいになれる、そんな温かい物語です。 ああ、シュークリーム、食べたくなったな……。
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宙水さん……!! レビューを読んで私が泣いてます。゚(゚´Д`゚)゚。読んでくださっただけで本当に嬉しいのに、こんな素敵なレビューまでいただけて、本当に本当に嬉しいです。シュークリームの描写はこだわったところなので、鼓動を感じていただけて嬉しすぎます!璃子と一緒に一喜一憂してくださり、そして宙水さんのいきいきとした言葉と表現力で感想を綴ってくださり、本当にありがとうございます。
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「いいもの読んだ」が、読了後の第一声でした。ほんとうに美味しそうに書かれますね、お菓子の描写。 レモンとチーズのタルトをハルくんが丁寧に扱う描写は、ハルくんが店や菓子をいかに大切に思っているかだけでなく、この爽やかなタルト自体が若く溌剌とした彼のイメージそのものに思えました。さしずめ、ブルーベリーのタルトは落ち着いた大人感のお兄さんのように勝手にイメージしましたよ。とても良い作品でした。
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