赤葉小緑

絢爛な花の香り、感じる匂い、感触、音、味、そして、妹が全ての世界だった。
 主人公純枝が、全盲だとは、最後まで気づきませんでした。  読み直すと、確かに香りや匂い、触覚や音、味の描写が多かったように思います。そして、確かに妹、花枝とは一心同体ではなかったかと思います。  年齢を重ねるにつれ、その距離は、徐々に離れて行きますが、それにつれて、純枝の心の世界が、描かれているように感じました。  段々と荒涼で、幻想的になる村の様子。しかしながら、現実は缶コーラ自動販売機があったりして。  新しいものと、あまりにも閉鎖的で非現実的な習俗との、対比が幻想的で、一層、純枝の内的世界の動きではないかと感じました。  その中で、花枝の心は繋がっている。それは純枝自身の生きぬこうという命だったのではないか。花枝は死んだが、桜として蘇り、芽を出し始めている。  そんな中、純枝は凌辱されるが、このことにより現実にもどり、花枝はより深く、純枝のなかに、命の火を灯したのではないかと思いました。  そして村を出る。「行ってきます」は、いつか全てを受け入れられたとき、心の強さを持って、またこの心の世界にもどってこれるような、希望を予感しました。  心の中の世界であっても、現実の世界であっても、花枝の赤心はずっと匂いとして純枝の生きていく力となっているのだという読後感が残りました。  以上、全く私個人の感想です。強く心に残る作品でした。
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小緑さん、ステキなレビューいつもありがとう💕 今作は、かなりの質量があったと思うので、ホントに読んでもらえたコトに感謝感謝なの。 純枝と花枝の姉妹に背負わせるものが大きく、私の作品の中でも不憫な二人になっちゃいました。 小緑さんがレビューで書いてくれたコトは私の作品をちゃんと汲み取ってもらえた喜びになって、すごく思いが伝わったの。 強く心に残ると言われて舞い上がったけど、やっぱり重たいよなあと思う気持ちもあって、どうしても読んでもらえたコトに感謝感謝しかないよねって気持ちです。 このレビューも大事に大切に読み返して、今後の作品につなげていきたい。 まごころが伝わる言葉の数々、ホントにホントにあ
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秋月さん、最期まで読み続けなければという吸引力、魅力が尋常じゃなかったです。重厚なテーマで、それだけに、秋月さんの作品に込める気迫を感じました。渾身の作、魂の作でした。 ありがとうございます。
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