加藤みゆき

「今夜は仕事だってぇ!」 来生家に夏樹の怒声が響いた。 「一体なに考えてんだ春のヤツ。俺がちょっと電話してやる」 「いいのいいの夏樹。今夜は帰れないかもって、ちゃんとハルさんから聞いてたんだから」 携帯を取り出す夏樹を鈴音が必死になってとめた。夏樹は大げさに眉をひん曲げた。 「だったらあのケーキ、どうする気だよ」 夏樹の見る先には、鈴音が朝から張り切って焼いたホールケーキが乗っていた。飾ってあるプレートには『HAPPY BIRTHDAY ハルさん』の文字。今日は春一の誕生日だ。 鈴音は少し寂しそうに答える。 「別にいいよ、秋哉くんと冬依くんに食べてもらうから」 「ヤッタ!」と飛び上がった秋哉の頭を、冬依がすかさずペシンとぶった。頭を抱える秋哉を無視して冬依が進み出る。 「そんなのダメだよ鈴ちゃん。ハル兄へのプレゼントにって焼いたケーキなんだから」 「そーだぜ。ハルは甘いものニガテだけど、あれはスズネのプレゼントなんだから、ハルが一口は食うべきだ。で、残りはオレがーー」 しょうこりも無くまたケーキに手を伸ばす秋哉を、今度が夏樹がゴチンと殴る。 「好きとか嫌いとかは問題じゃねーの」 そう言って、いささか強引に鈴音の肩を抱き寄せた。 「んじゃ俺たちは別のケーキを食べに行こうぜ」 というわけで、夏樹が鈴音を連れてきたのはケーキがおいしいと評判のカフェである。 「手作りもいいけどさ。タマにはプロの味を勉強するもの大事だぜ」 そう言われると鈴音も遠慮無くケーキに手が伸びるわけである。さっきまでの寂しそうな顔はどこかへ消え、幸せそうにケーキを頬張った。 一方、秋哉と冬依は店の外からそんなふたりを見つめている。 「ぐぬぬぬぬ」 秋哉などうらやましすぎて、うなり声などあげている。その隣で冬依はそっとイジワルなメールを送っていた。 「鈴ちゃんの浮気現場発見。ハル兄、早く来ないと知らないよ」 この後、何が起こるのかは、また別のお話である。
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😲ちょっと待ったーーー!! ヤバいよ、ヤバいよ、 ……妄想が、、、 ココは安心安定の秋哉くんに癒されましょう😂 アッという間に祭りは終わってしまった😭 また来年に〰️🤩 みゆきサマ、お忙しいなかショートストーリーをありがとうございます😍
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