瘡蓋を掻っ裂け
 両親の別離のきっかけは自分と思い込み、移った田舎でも離れた父の事で辟易としながら過ごしていた主人公。ある日出会った一人の女子は、奔放な事で有名で…  二人の出会いから互いの傷を認知して前を向いていく様を、青春のスピード感があるロックな構成で描かれた短編小説でした。  ステージ演奏、『トンネル』の暗喩 等、序盤と終盤で二回以上登場するものに、「同音異義語」のように変化した意味を持たせていて、心に響く振動が増したようでした。  二人が抱えていた傷を撫で合うのではなく、瘡蓋を掻っ裂いてヒリヒリする青春に前を向こうとするストーリーに、不思議な爽快感を感じた作品。とても面白かったです。
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トコさん、レビューありがとうございます。 「瘡蓋を掻っ裂け」、なんてイカしたキャッチコピーでしょうか……! 本作はまさに世良が瘡蓋と向き合う話だったなと思います。 本人が「もう治った」と言い聞かせてきた傷を誰かが「本当はまだ痛むんじゃないの?」と教えてあげる話とも言えるかもしれません。 世良は自身の一言のせいで家族がバラバラになったと思い込んでおり、両親につけられた傷(どちらにも選ばれず捨てられたこと)については平気なフリをしていました。 大好きな両親を恨むより、自分を責めた方が楽だったからだと思います。 それに「捨てられたこと」に向き合うのは何より怖いことですよね。 自分が無価値であること
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いつも丁寧にレビュ返いただけること、本当に嬉しいです。ありがとございますっ! 私みたいな読書する人は、きっと皆んな作者様からこういうお話が聞きたい!って思ってるんじゃないかとw めっちゃ楽しい。 「瘡蓋を掻っ裂け」なかなかキャッチーですよねw 自画自賛しちゃっていいでしょうかw どちらにも選ばれずに捨てられた……そういう傷を瘡蓋のように隠し治ったかのように思い込んでいた世良は、きっとまだ痛むことを自覚しつつ向き合えなかった事が読み取れた気がします。 そんな中でのヒロインとの出会い。 雁野の寂しさ故の痛々しさというか、世良と共有出来たものが名付けが難しい不確かさである程に切なさが大きくなって、
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