みか

ヤドカリは春の季語
春は異動の季節ですね?( *´艸`) 小型の水槽の中でカニやウニ、ヤドカリを飼育していたことがあります。 家族が入り江の岩礁から、これらを捕まえてきたのです。 水槽の中の海水を新しいものへ取り替えてから、これも海岸で集めてきた貝殻を水槽の中にジャバジャバと入れてみました。 ……私が見ていると、ヤドカリの一匹が手頃な巻き貝に近寄っていき、すぐにシュルン、シュルンとこれまで自分が住家としていた貝を脱ぎ捨てては、見つけたばかりの新しい巻き貝へと柔らかな腹部を収めました。 …………!!! 幼かった私は三つのことに驚きました。 まず、初めてヤドカリの引っ越しを目撃したことが、一つ目。 二つ目は、その素早い動き! 三つ目は、今まで自らの家として使っていた貝殻にほんの少しの執着心も示さないヤドカリの姿にです。 人間だったなら、どうなのかということを小学生の私は感じたんですね。 さて、この小説は生まれ落ちた環境や自身が進む先に対しては淡々と心境を語っていた主人公が、引っ越しを繰り返してゆく間に心情の変化が生じたのを明かして、読者側が彼の人間らしさへ焦点を絞れるようになる作品です。 主人公が大きく変わるきっかけは「焼鳥屋のアサシン」と出会ってしまったからなのですが、物語の終わりに「不幸だよな」と彼が率直に認めた際にその役職や所属する部署は揺るぎないものとなります。 立場が確定する、といった方が適切でしょうか。 彼が認めた「不幸」とは、割りを食った不確かな境遇を正直に述べたものであり、ここに物語冒頭の記述が際立ちます。 「僕は、寝ぼけてたんだと思う」……物語の始まりに記されたこの部分は、そのままのぼんやりとした感覚を引きずり、完全な覚醒にはならずに起き上がり、何回かの引っ越しにより、そのぼんやり感は薄らいでいき……そして、ついには死神との邂逅により急速に目が覚めたのだ、という事実を主人公は図らずも、この段階で語っていたのです。 急な目覚めの発端は射貫く目を持つ死神の存在であって、目覚めた後もそれとの縁は切れていない……ここが多重の意味での彼が伝えたかった「不幸」なのでした。 だからこそ、最後になって読者は彼の心のかたち・彼が伝えた人生行路に同情してしまうのです。 えへへ……感想文を書くと、ほぼ物語の読み解きになっちゃうみかでした〜♪
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知らなかった!!! 目からウロコ〜!!!ჱ̒ ー̀֊ー́ )𝒀𝑬𝑺 嬉し過ぎる熱いコメント幸せです!
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