ともなり

超・妄想コンテスト『黒』裏会場👑銅賞受賞作品
女性教諭が生徒の相談を受けかつての自分を思い出す話。青春物にありがちなキラキラした学生時代ではなく、大人にも子供にもなれぬ狭間でどよどよとした日々を暮らす内気な少女の視線で描かれる日常は、酷く説得力があり胃の底に沈んで行く様な重みを感じるリアリティがありました。それは登場するキャラクター達の強い現実味があればこそに思いました。ただその中に置いて唯一異質な黒川先生は意図的にこの世界観から切り離したかのような存在で、しかも綺麗な黒として位置づけられていて、どよどよした灰色の日常の中でより強くシャープなくっきりした色、かつそれが暗黒の闇ではなく夜の安息の様な色としてもとれ、主人公にとって人生の根幹をなした人物である事が所以か現実味の無さや極度の美化を意図的に強調しているかのようにも見えました。現実味のある人物たちの日常に涼風の様に入り込んだ非現実的な存在が自然に縫い込まれているのはとても面白い構成だと思いました。主人公の背中を静かに、しかし確実に強く押す先生、そして立ち位置を貰うのではなく掴みに行き、結果を出した主人公が卒業式、彼女はようやく自分をもう子供から抜け出せたと思えた結果かなとも思いました。
1件・3件
この度は銅賞をくださり、ありがとうございます。 今後も面白い作品を生み出せるよう、執筆に励んでいきます!
1件2件
素敵な作品をありがとうございました。
1件

/1ページ

1件