ともなり

超・妄想コンテスト『黒』裏会場銅賞受賞作品
読解力を求められる作品。多分作者さんの読書量はかなり多くて読解力もかなり高いのではないかと思いました。と言うのもその描き方が独特で随所にちりばめられる暗喩によって理解させる手法が多く見られました。その言葉選びは秀逸で何を表したいのか感覚にダイレクトに訴えるそれは見事としか言えないのですが、中には共感を得にくいどう解釈したら良いのだろうと言う様な、悪い言い方をすれば陶酔した様なものもあり、それは作者と同等の読解力を読者に求めるので、酷に思う事も幾らかありました。 文章は場の空気感を見事に伝えていて、そこにある息遣い視線の熱量なども伝わってくるのですがキャラの立ち位置が定まっている様には思えず、シーンによって何だかぶれている様な風にも見えて、それゆえエピソードの連続性があまり感じられず、結果空気感はものすごくあるのに本筋が全く見えないのっぺらぼうに思えてしまいました。そもそもこの二人の関係が何故こういう間柄になったのかの描写がほぼなく、何もかもが偶然過ぎていて、かと言ってその偶然に運命的なものも感じられないまま展開するのでラストに置いてなんとなく盛り上がる感じに仕上げてはあるのですが、重ね続けた強引さのせいで個人的には置いて行かれている感が残り、結局二人の関係とは何だったのか、主人公やヒロインは一体何を考えていたのだろうかといろいろもやもやしてしまったのが残念でした。でも結局はきっと僕の読解力不足が問題。

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