夏月 海桜

黒川兄弟最終章。こんなキャッチコピーを見たら、とてつもない寂しさを覚えた。それは多分、私がこのシリーズにどっぷり浸かったせいだろう。 待望を拝読した時の面白さは、続く渇望も衰える事なく。本作品も、面白さが衰えなかった。マンネリ化しないで面白いと思える作品は、作者様の腕の見せどころでもあるだろう。 兄弟の両親がどういう風に兄弟を育てたか、その様子が垣間見える1部もさる事ながら、やはり本作品は、2部以降が推しだ。 ある事件に巻き込まれた主人公達。それに関連して出会う人々……。人間の悲しいサガ。それも垣間見えたが、何より悲しい事件が起きた後の、悠一の言葉が書きたい為に、作者様は書かれたのではないだろうか。 人が人を思いやる。母が子を思いやる気持ちが描かれた悠一の言葉は、目が潤んだ。 そして、ラストは大団円。 もちろん、紆余曲折はあったし、事件のその後のあのこも出て来て、どうなったのか垣間見えるのも嬉しいが、全てがラストの為の物語。 そう思える作品だった。素晴らしい作品をありがとうございました。
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