石亀じだん

探しものはなんですか
主人公に何故か懐く野良犬ユージ。 ワンちゃんは、確かに何かを拾ってくる。散歩の途中で棒きれや石ころ。人間にとっては特に何の価値もなさそうに見えるものでも、大事そうに咥えて持ち帰る。 そんなものを集めては、時に庭の片隅に穴を掘ってそこに隠す。サンダルや洗濯ばさみだったり、家族の靴下だったり。 でも、このユージは少し変わっていて、どうやら主人公の欲しいものがわかるようだ。心を読めるのかな? 確かにワンちゃんは匂いを嗅ぐ力や聴力は人間の何倍もあるらしい。人には聞こえなくても好きな人、主人が帰ってくる足音を遠くから察知し、騒ぎ出すことがある。 こんな能力があっても不思議はないかな? いややはり不思議だ。 ユージにいいように操られているようで、なんとも滑稽だが、その駆け引きというか、一人相撲の様子がおかしい。 たいていの読者はこんなことなど決してないよと思うが、もしかしたらと思わせる。 でもそんな二人の関係が最後のページで、一変する。 主人公の母親がなくなったとか。 そして一人ぽっちになった主人公が久しぶりに公園に、ユージに会いに行くと。 そこにはちゃんと彼?が待っていた。そしてユージが集めていたものがきれいさっぱりとなくなっているではないか。 そして新しく家族になる。 家族とは人間同士ばかりでない。ワンちゃんも猫ちゃんも家族になれる。そして家族の愛とは物のやり取りではない、心のやり取り、無償の愛なのかもしれない。心にできた隙間に互いがぴったり入り込みましたかね。 主人公にとってもユージにも、探していたものがみつかりましたか? ハッピーエンドに心がやすまります。
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