ながうち

 集落に謎の音が響いた2日後、また同じような音が集落に轟いた。    前回と違い路上に誰も人がいないおかげか被害を最小限に留めることができており、 このままの状況が続けば人間の手によって間違いなく風化されるだろうが、一人の少女はそれを見逃すことはなかった。  謎の音やその音から感じ取れる不快感に全く屈しないユナという少女は、嗤いながらこう叫んだ  「この怪奇現象、あたしが受けて立つ」    こんなどうしようもない独り言を発している時点で端から見れば謎の少女にしか見えないが、彼女の言葉を聞いている人間は周囲に誰も見当たらなかった。  ユナは音源がどちらの方向にあるかを確認しようとしたが、確認している最中に軽い頭痛を覚えてしまいそれどころではなかった。    結局、軽い頭痛を覚えている最中に音は響かなくなり、どちらの方向から不快感を感じる音が響いているのかは察知できなかった。ある程度周囲が山に囲まれていることもあり、物理現象で音が反射されていると考えることも出来ただろうが、ユナの頭にその現象が思い浮かぶことはなかった。  音が響かなくなるとすぐにユナは自宅に帰ろうとしたが、謎の音が何によって発されているのか非常に気になったという理由でその場に留まることにした。  人工物か天然物か、意図的にか非意図的にかといった要因を探ろうとはしたが、分かっている情報が少なすぎて断念した。     

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