潜水艦7号

屹立 麗 迫撃
この作品のタイトルを見たときから思っていた。この作者の作品は妖刀・村正のようだと。 並の覚悟で抜いてはならない刀身はその鋭さが故に作者自身とともに読み手の心すら躊躇することなくバッサリと切り捨てる禁断の刃。 この作品のストーリー、背景、小道具やキャラクター。その全てが彼女の想いを代弁するメタファーだと私は考える。 きっとこの作者はこう言いたいのだろうと。 綺麗事ならどれだけでも書ける。無責任であるならば何でも言える。理想だけならどうとでも語れる。だが現実は決してそう甘くはない。 飛び出す先、求める自由という生き方の先に責任という重荷が待っていると。我々は皆、片道燃料を積んで出撃する爆撃機なのだ。 その現実を、この作者はあえて読み手に突きつけることで闇の中で刀身を振るうのだ。 肝心な答えは曖昧なまま。その刀が何をどうやって斬ったのかは読み手の心に任される。それは作者にとってきっと無意味なことであり、読者の自由に問いかけられているのだろうから。 そしてその怪しい刀身は「鞘」へと戻る。その瞬間に我々は安心するのだ。「ただいま」といえる瞬間に安堵する。 そして現実世界における平和と安寧の「ただいま」を、我々は今日も訴求するのだ。
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心が奮えるような熱量あるレビュー、本当にありがとうございます。感激しました。 「妖刀・村正」のようである、という作品の評価(喩え)、とても嬉しくて深く唸ってしまいました。恐縮しつつ、ちょっと誇らしいです。ありがとうございます! たしかに「禁断の刃」になりかねない筋の物語だと思います。作りながら考えたのは、タイトルの惹きからいかに読者を「置き去り」に話をすすめるか、そんな挑戦がありました。  まさに「綺麗事」は真相真実の隠し事であり、そんなに現実甘くない。それを物語で突き付けて、読んだ時どう思う?……読者に斬りつけるようなそんな狙いで最後書き切ったような気がします。  恐らく、作ったプロットや
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