石亀じだん

蝉の鳴き声は何を伝えるのだろうか
物語の出だしから、これは心して読まないといかんかなという気持ちになりました。 見知らぬ人が訪れて、手紙とセピア色の写真、そして仏壇にお線香か。 そこにはひいおばあちゃんと弟、二人が写っていた。 そこから見えてくるのは、今の自分たちのように仲の良い幼い兄弟の姿だ。 その弟が19になれば、叔母さんの家の息子と同じように戦地に赴くことに。父は昨年戦死しているというのに。 今では全く考えられないことが、ごく当たり前のようにあったのですね。 『欲しがりません、勝つまでは』 赤紙がくれば、皆が「おめでとう」と言って戦地に送り出す。 残された家族は、悲しむことも泣くこともできないなんて。 曾祖父が戦友だった言う人が届けた手紙は、涙なくては読めません。最後の部分は本当の気持ちだったことでしょう。 彼女は、手紙と写真を届けてくれた人と結ばれることに。 これも互いのひいおじいちゃんが結びつけてくれた縁なのでしょう。 戦後、79年。戦争を知らない世代なっていますが、こんなことが実際にあったことだと、決して忘れてはいけないと改めて思います。 そして、戦争で亡くなった多くの人たちのためにも、この平和を守り続けることが大切なことだと思いますね。 ラストのセミの鳴き声と広がるが青空が印象的でした。 たくさんの人に読んで欲しい物語です。
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