乃上さり

質の高いサスペンスドラマを満喫したあとのような読後感!
とても質の高いサスペンスドラマを見たような気分になる、すばらしい作品でした。短編も拝読しましたが、長編にしたことで事件の背景、登場人物それぞれの事情や心理状態が詳しく描かれ、それが物語に深みを増したような気がします。(こちらと短編の読み比べもおすすめです。) やりたい放題の地元有力者の息子が同級生男女に殺されるところから物語は始まります。 しかし事件は有力者である父親の力で事故死として処理され、事件現場を見た若手警官は疑念を残しながら組織に従うしかありません。犯人である若い二人はその事件処理に安堵しますが、どうやら犯行現場を同級生が目撃していたようで……。 時間は進み十五年後、かつて事件を目撃していたらしい頓宮という同級生が、警官から拳銃を奪うという事件を起こします。そこで隠してきた過去の事実が明らかになっていき、当時の関係者、そして今は捜査一課に出世したかつての警官がなんの因縁か顔を揃えます。 この作品では短編では明かされなかった、事件を事故死にした父親の事情、頓宮と被害者の関係が明らかにされ、なるほどと唸りました。 これは短編執筆時から考えられていたものでしょうか? この事情がわかることで、読者の感情は強く揺さぶられ、私は悪童だった被害者に同情さえ抱いてしまいました。 この作品を書いてくださって本当によかったと思いました。 物語のラスト、罪を償った二人が想い出の場所であり、事件現場でもあるメタセコイアの木のもとに立ちます。黙って彼らを見守ってきたメタセコイアの木の悠然とした描写に、二人のこれからの幸せを願わずにはいられませんでした。 余談になりますが、若い頃から正義感に燃え、思慮深い刑事に成長した高橋刑事、ぜひ彼を主人公にシリーズ化して欲しいななんて思ってしまいました😊 とても素晴らしい作品をありがとうございました✨
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これだけのレビューをいただけるほど心を込めてお読みきただき、さらには身に余るお言葉の数々、誠に光栄です。本当にありがとうございます✨ 全て心に染みました。いただいた感想は全て宝物にさせていただきます。 短編執筆時から考えていたか、というご質問ですが、順序としては逆でございました。 もともと実体験を元に、友香子、敦也、頓宮を主軸とした大長編を書きたくてエブリスタに登録し、文字数13,000程度書いていました。 ですが展開に行き詰まり、妄想コンテストでまずは書く練習をし始め、そちらに熱が向いていたところに、テーマ『久しぶり』が来た。テーマを見た瞬間にどこか憂を浴びた物語が浮かび、メタセコイアが合
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ご丁寧な返信ありがとうございます。 また制作秘話をお聞かせていただけてとても嬉しいです。 なるほど、長編を先に考えられていたのですね! 短編を読んだ時、8000字の中で一人一人に割く字数は少ないながら、登場人物の背景が垣間見えたような気がしたのは、既に人物造形がしっかりしていたからですね。 今回の「サスペンス・ミステリーコンテスト」では、絶対に受賞すると信じて応援・お祈りしています⛩️🙏 そして、受賞しても問題がないようであれば、さらなる長編を目指して欲しいと思います。 高橋刑事シリーズもいつかぜひ。 楽しみにしています😊
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