石亀じだん

『修復失敗の天使像』どこかで聞いたことあるような?
さびれた教会の天使像の前で、熱心に何かを祈っている女性の姿に、『何とかしてあげたい』と思うこの少年は、どうするのだろうか。 そうか、売れない絵描きのその女性の母は長患いで、薬代も馬・鹿にならないというのか。 その上にいままで親切にしてくれた老人も金を返してくれとか。 どうにも困り果てた彼女の、ほんの少しばかりの心の安らぎは、そうでしたか。 ある日のこと、そんな彼女の前に現れた少年は。 こともあろうか、あの教会の天使像にいたずらを? でもそれは人々の心を和ませた。 あらら、そういうことですか。 あれほど救いようがなかったと思われる生活が一変して、物事が良い方に転がり始める。 『神秘的な事象は一回限りが良い』、確かに『何度も起きたら奇跡が奇跡ではなくなる』かも。 そうでしたか、天使は神の代弁者なのですね。 ラストには、驚かされました。まさか「天使も評価」されるのですか。 そして評価されれば昇格も、仕事が評価されないと降格もあるんですね。天使の世界も結構厳しいですね。 どんな世界でも一生懸命に自分の身の丈にあった努力は必要で、それはきっと誰かがいつか認めてくれることでしょう。 とても気持ちが安らぐ、心に響く優しい、いい物語でした。
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