倉橋

この作品の面白さを多くの人に伝えたい思いで感想を書いた!
 作者は、章ごとに視点の変わる構成を活かし、非常に優れた作品を次々と発表している。  今回の作品はこれまでの作品の集大成とも云うべき魅力に満ちた作品である。  是非とも多くの人に読んで貰いたい。それだけの価値ある作品である。  この作品はミステリーモードに溢れたメロドラマと云うべきだろうか?  謎解きの面白さが、読者にミステリーの快感を味あわせてくれる。まさしく最後の最後まで目が離せないストーリー展開であり、読者はよほど注意深く読まなければ真実から遠く離れてしまう。  ストーリーを明かしてしまわないように気をつけなければならないが。この作品の魅力を伝えるためにも、最低限、これだけは云いたい。  「真実」とは何か? 本当にひとつだけなのだろうか?  人それぞれに「真実」がある。  それは他人に誹られようと、絶対に譲ることの出来ない最後のプライドである。  「真実」とは、人生そのものなのだ。  この作品を読み終えたとき、登場人物、ひとりひとりが抱える自分だけの真実に圧倒される。  それは読者ひとりひとりに、大きな感動の泉となって湧き上がることだろう。  最後の頁が特に巧い。ほろ苦さ、諦観、後悔、哀しみ、未練……。  人間の全ての感情に満ち溢れた人生の慟哭である。    
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