CM( --)ノノ もうやめます(笑 * * * 「くっ……ちょっとマジで……!」 クロノは壁際に完全に追い詰められた。 「いや、確かめるだけだから、ちょっと見せてよ」 朝比奈は、鉄格子に背中を押し付けてこわばっているクロノの前まで辿り着くと、手を伸ばした。 * * * 「中入って鍵かけろ! 上の二人も早く!」 クロノが叫ぶが、侵入者たちはすでに船内へと足を踏み入れていた。 「キャーッ!!」 「なんなんだよ、もう!!」 寝起きの格好のままのめろみゆが船室から飛び出す。 その腕や腹には、何かべたべたした乳白色の液体がこびりついていた。 * * * 「本名の藤崎翡翠で検索したら今でも出てくんじゃねぇか? 中一ん時の試合で……あからさまな禁じ手使って、相手の腕をちょっと……折っちまったんだよ。 道場は波紋、試合も出禁、親父とは大喧嘩になって家出して、そっからだな、ブラックなやつらとつるんでエセ世直しのチンピラ企画動画で稼ぎ出したのは」 クロノは苦笑いを浮かべた。 * * * 「ちっ! 今お前の相手はしてらんねぇ!」 男は踵を返して入り口へと走り出した。 「待てコラァ!!」 疾風の如くその背を追うクロノに、朝比奈が、 「気を付けて! 噛まれたらダメだ!」 「んなヒマ与えねぇよ!!」 クロノは地を蹴り宙を舞い、男の延髄へと足の一閃を叩き付けた。 * * * 「食ってみろ。 この島で取れた農産物だ」 差し出された多種多様の南国の果物や野菜の山に、アルマが怪訝な顔でクロノを振り返る。 クロノはその一つを頬張り、飲み込み、雷に打たれたように動きを止めたが、 「こいつは……ぜってぇなんかヤベぇもん入ってんぞ。 異常に美味すぎるし、一口食ったらもう食いたくて食いたくて衝動が止まんねぇんだよ、怖っ」 次々にかじりつき始めた。 * * * 「おい、これちょっと借りんぞ」 クロノはおもむろに伸ばした手でリワンから金色の糸を引き抜いた。 「え、あ……!」 リワンが弾かれたように顔を上げる。 「んで」 クロノは手にした糸をアルマの胸へと押し込んだ。 「どうだ? ミヌが入った感覚は」 * * * 禁忌を犯した僕らは、見えないものが見えるようになって、死ぬ。 https://estar.jp/novels/26166798
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