翠月

人生が集まる図書館
読了後、時間が空いてしまったにもかかわらず感想を書くことをお許しください。 おじいさんの言葉だけで紡がれる物語。他の作品と違い、描写が一切ないにもかかわらず、その語り口に引き込まれました。そして、最後の最後に何とも言えない、背筋がぞっとするような感覚が押し寄せてきました。 死者の生涯が書かれた本が集まる「古の図書館」。おじいさんの「稀にお主のように自身が死んだことも忘れて、本からまいでるものがおるでな」という言葉で、タイトル『忘却の図書館』の“忘却”の部分が回収されているのがすごいと思いました。 また、「大人しく本に戻りおったか」というセリフから、ただ生涯が書かれているだけでなく、その本人が本の中に眠っているのだと分かり、驚きました。 さらに、本のタイトルが名前だけでなく「横暴社長片瀬正俊――その生涯と最後」とまるで本屋で売っているようなものになっていたのがしっかりと’図書館’らしさがでていたと思います。 拙いレビューですが最後までお読みいただきありがとうございました
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