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小説と花
灰黒猫
2025/5/13 23:25
戦闘の日常と創作小説世界の二重写しの映像のようです。
読んでいて、とても好きな作品だと思いました。 緊迫感のある戦闘と、ロバートの語る緩やかな小説が、二重写しの映像のようでもあり、戦闘と対比的な穏やかな音楽のようにも感じられました。 それぞれの登場人物たちが生き生きと描かれているのが素敵です。 ロバートの創作小説を読んだことのある人たちの反応が、それぞれ異なっているので、なおさら良かったです。 「読者の関心が離れてしまう」と教えてくれた元大学教師の仲間は、今はもういないのに強い存在感がありました。 小説の中の男と女の名を知りたいと言うバーの店主に、この人にとっての小説の人々は、「生きている」と思える存在なのかなと思いました。 作中の女に『アイリス』と名がつけられたことで、さらに創作の光景が広がっていくのが感慨深かったです。次第に命が与えられていくようで。 ロバートの小説を読んでも「すげえな」としか言わない、というウィリーに少し笑ってしまいました。 でも、後になってから、ロバートに『行き詰まる』とはどういうことか問うことで、ロバートが単調な戦闘の日々の反映のように「特別な人生をえがきたい」と思っている心情を言葉として引き出させたり、「好きに書けばいい」と言ってくれるのがすごく良かったです。 「良い作品でなくても、お前の作品はすげえ作品だ」という言葉がとても胸に刺さりました。 あと、ロバートが「特別な人生」として語っているのが、戦闘がなければ「多くの人が得る日常的な幸せ」といってもいいようなものだったので、切ないです。 現実に咲く白い花の茎にロバートが手を伸ばして触れるところと、小説の中の男とアイリスのいる道端に咲く白い花の存在が、それぞれの現実と創作世界とを小さな光のように交差して互いに照らし合っているようにも思えて、読んでいて泣きそうになりました。 こちらの作品を読むことができて良かったです。ありがとうございました。
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ヨズシ
5/14 22:41
灰黒猫さん、素敵なレビューをありがとうございます。 4月の、ものすごい満員電車に押しつぶされながら(まさに戦場です…)、ふと思いついたことを書いてみました。 小説についての話なので、ロバートの悩みの一部は私自身のものであるかもしれません。下手な比喩に自分でダメ出しするシーンは、実際に思い浮かんだダサいフレーズをそのまま書きました。笑 キャラクターをおざなりにしがちなところも一緒です。最近は人物に魅力を感じられるよう書くことを意識しているので、「登場人物たちが生き生きと描かれている」とおっしゃっていただけてとても嬉しかったです。 ロバートの読者3人のモデルは特にいないと思っていましたが、これ
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灰黒猫
5/15 23:03
ヨズシさま。 こんばんは。コメントをありがとうございました。 満員電車の中でふと思いつけるのはすごいですね。 あの圧迫感は思考を無にすると思っていました。 ロバートの比喩へのダメ出しがとても自然でしたので、ヨズシさんが実際に思い浮かんだこと、と知って納得がいきました。(笑) 「人物に魅力が感じられるように書く」って、つきつめると難しいですね。 他作品も含めて、ヨズシさんが書かれる人物たちは、人間としての動きや厚みのようなものがあるように感じられて、いつもすごいなと思っていたのですが、 自分が描きたいとなると、「どこにでもいそうな無名の人(人外含む)」や「絵画のような遠景」が好きで、人物
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灰黒猫