天陰村雲

 研究は成功に近付いていた、ほぼ成功といっても良いほどに、神代の火や水がちろちろと顕れるようになっていた。  しかし、男にはこれ以上夢を現実にするための財が無かった。 そんな時、今ある現実から来た者達が言った。 「やぁやぁ、お困りのようだね。ここは一つ助け合おうじゃないか」 「君の持っている知識や技術を我々に渡す代わりに、我々は君に資金と環境を与えようじゃないか」 「これは素晴らしい発見だ。君だって道半ばで諦めたくはないはずだがね?」  夢を愚弄した者に夢を語られ、現実に塗り潰される人の夢はなんと儚い。 そして、彼は夢を売ることで夢を叶えた。

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