-翔-

ひとひらの雪。 ふわり、と雪が空を舞った。 俺の目の前を、柔らかく踊るように通り過ぎる。 今年、初めて雪を見た。 『見て、虎狼! 雪の結晶だよ』 俺の言葉より先に、月華の口からその名前がこぼれ落ちる。 彼女の視点の高さに到達していないはずなのに。 『本当だ、綺麗だね』 『うん! ね、ちょっとだけ積もるといいね』 沢山の、と言わないところが月華らしいか。 運動神経が悪くないくせに、ぽけっとしている彼女は、たまに足元がおぼつかないから、かもしれないが。 にっこり笑う可愛い恋人に微笑み返す。 月華の意識の先に、俺の視線があることを嬉しく思いながら。 テーマは雪。 一日15分、リハビリを兼ねて投稿します。 明日もまたお会い出来ると幸いです。
1件

この投稿に対するコメントはありません