東雲健太郎

 『日本国』。  この国名から、我が国が抱える最大の欺瞞に気づけた方はいるだろうか?  理解できた方も多々おられるだろうが、解らない人のために一例を出そう。  中華人民共和国、アメリカ合衆国、フランス共和国、大韓民国、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国……などなど。  その国のあるべき姿は、国名にしっかりと刻まれているのが常識である。  共和国なのか、王国なのか、合衆国なのか、連邦なのか。  これはアジアだろうが、ヨーロッパだろうが、中南米だろうが、北米だろうが、全て同じだ。必ず国名の後ろに上記のどれかを付ける。  しかし、日本にはそれがない。  共和国でもなければ、合衆国でもない。連邦国家でもなければ、王国ですらない。  つまり、国家のアイデンティティが存在しない。極論を言えばそうなるのだ。  無知な人はここでこう言うだろう。  共和国にすればいいのでは、と。  それには二千年間存在し続けた万系一世の天皇陛下を無くし、立憲君主制を廃止し、国家元首を大統領にしなければならない。  国民世論がそれを求めるなら可能だろうが、まず現実的ではない。国民世論の過半数以上が皇室の存続に賛成しているからである。  ならば、残りは王国、もしくは帝国を名乗るしかない。  立憲君主制でもある上、これは比較的難しくない。憲法改正と共に国号も変えてしまえばいいからだ。  しかし、問題がある。  天皇陛下は英語で訳すと『エンペラー《皇帝》』だ。西洋の考える皇帝と厳密には違うのだが、最も近い訳がそれしかなかったのである。  つまり、王国ではない。  日本は帝国を名乗らなければならない。  だが、大日本帝国悪玉論が世界を蔓延っている現状、日本帝国を名乗れば特アが騒ぐし、無知な世界の民が暴走する懸念もある。  だからこそ、私は、『日本皇国』と名乗るべきだと進言したい。  戦前、日本のことを皇国、日本軍のことを皇軍など呼んでいたことからも、決して的はずれな意見ではないと思う。  この国号を、中二病だと揶揄する人間も少なからずいるが、現在の国の在り方すらまるでハッキリしていない日本国こそが、中二に有りがちな斜め上から世間を見る思想に近いのではないか。  勿論、憲法改正が為されることが大前提としてあるのだが。

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