ねぎし

イライラしすぎて勉強が手に付かないので息抜き。 最初グロいよ! 意味も何にも無いです。 *********  たった今屍肉となり果てた生暖かいそれを蹴り飛ばす。靴先は見事に腹にめりこみ、一切の抵抗なくそれは転がっていった。その感覚が不快で忌々しく、彼は舌打ちをした。  周囲を見渡す。  鬱蒼と茂る木々に囲まれ、彼の周囲には屍と敵のみが存在していた。  そこには可憐に咲く花など生えている筈がなく、グロテスクで赤黒い屍体から滴る液が撒き散らされていた。  そんな中、一人周囲を見据える彼にはかすり傷一つついていなかった。  漆黒の髪が風になびく。  髪色とは正反対の血塗れた白銀が木漏れ日を反射し、薄暗い中、眩しく輝く。 「おい、貴様等……こないのか?」 誰にも屈することなく笑い、整った顔で挑発するその姿は、まさしく王そのものだった。 「貴様等は俺たちを"用途別"に部類し、売買まで行い、使役さえ行った」  警戒の色を失わない剣先をそのままに、唐突に彼は語り出した。 「それは貴様等のいう奴隷制度と同じではないか。自らの仲間も他のなんらかの者も同じ生き物だという事を理解しない貴様等になど、俺たちは負けなどしない」  奴隷制度。とある国の大統領が定めた禁止令を皮切りに世界中で禁止されたというが、それはあくまで人間間だけだ。  魔物の売買は変わらず行われ、魔物に対する奴隷扱いは消えていない。 「貴様等に蹂躙されている自然も、俺たちと一緒だ。ただ違うのは貴様等に主張することができないだけ。自然は自然の中で貴様等のいう野生動物と互いを気遣い合いながら共生し、お互いを昂め合っているのに対し、貴様等は一方的な支配で自然の成長を妨げ、衰えさせる」  彼は魔物を統べる王。  絶対の力を持った彼の言葉は、この世界の何よりも重く感じられた。 「それで俺たちを悪だと? 世界を貶めるだと? ……笑わせる。自己紹介も程々にしてもらいたいものだ」  そして彼は電光石火の如く、駆ける。誰も対応することができない早さで。  そして装備が他のものよりも一風変わった、少し豪奢なものを纏った敵の頭と思しき男の首に、白銀の剣を突きつけた。 「……覚悟は、できているな?」 ………………それが、戦争の始まりだった。

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