猪野猫狗狐

バレンタインだからやらかしてみる← 【オリキャラ/_novel_view?w=22023262のバレンタイン小話。シチュエーションは気にするな】 「ねえ、アラン君。豚のイメージって、どんな感じ?」  ニコライは、そう問い掛けるとアランの目を見つめた。 「豚……ですか? 臭くて、どんくさくて、太っている感じですかね。綺麗好きとも聞きますが、いまいちピンと来ませんし」  アランの返答を聞いたニコライは軽く笑い、それから人差し指を立てて話し出した。 「ま、匂いってのは生物の種によって好き嫌いがあるしね。どんくさいって言うのは微妙だけど。人間が飼い慣らしたとは言え、元は猪なんだし。それと、体脂肪率で言えば豚は太っていないよ? 考えてもみなよ、脂身ばかりの豚肉なんて、体に悪そうで好まれないでしょ」  説明を聞いたアランと言えば、納得した様子で頷いた。 「確かに……猪は突進されたら危ないですし、好みはあれど脂身ばかりというのは体に悪そうです」 「でしょ? それに、雌豚限定だけど、高級食材を探すのに使えるし。ま、ただ単に雄を求めているだけとも言えるけど」  それを聞いたアランは苦笑し、ニコライは尚も話を続けていく。 「ま、僕は三大珍味なら、サメの卵の方が好きだな。トリュフなんて菌類だし?」  ニコライは、そこまで話したところで内ポケットに手を入れた。彼は、内ポケットから小さな箱を取り出すとアランに手渡し、微笑みながら言葉を紡ぐ。 「でも、トリュフチョコは別。美味しいから、試してみてよ。一個だけしかあげないけど」  それを聞いたアランは礼を言い、ニコライは満足そうに目を瞑る。 「そう言えば……極東のある国では、バレンタインにチョコを送って告白する風習があるんだって」  それを聞いたアランは目を丸くし、ニコライは口元を押さえて笑った。 「それを、君がどう受け取るかは自由だよ? それじゃ」  ニコライは、そう言い残すとアランの前から立ち去った。一方、アランは渡された小箱を見下ろし、暫くの間動くことは無かった―― END
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