Adamas

ある日、昼休みに紗依は次の授業の教師に呼ばれて、職員室に向かっていた。それを大和が屋上に行こうとした時に、見掛けた。 「ごめんなさい。このプリントを教室に持っていて欲しいんだけど・・・ちょっと多いから、手伝ってもらってもいいわよ」 机の上には、3、4枚綴りのプリントが人数分、たっぷりと積んでいた。教師の言葉を聞いて、大和に言われたことが頭に過ぎった。 「立ち止まっていいんじゃないのか」 その言葉を振り払うように、軽く首を振り、笑顔で返した。 「いいえ、心配ないです」 紗依の体には、ずしりと重いプリントの束を両手でしっかり、抱えここんで職員室を後にした。

この投稿に対するコメントはありません