東雲健太郎

ユフィ「政治の話をしましょう、アベル君」 アベル「……唐突にどうしたの?」 ユフィ「今本編で反体制派だとか民主主義とかの話があるでしょ? その当たり前の話をするのよ」 アベル「僕、そんなに頭よくないけど」 ユフィ「解っているわ。大体は私が話を進めるから。貴方は相槌を打ってくれればいいの」 アベル「……少しでいいから否定してほしかった」 ユフィ「アベル君は民主主義をどう思う?」 アベル「無視か……。うーん、民主主義かぁ。国民の意見を反映することを主とした制度なら、最高って言えるんじゃないかな」 ユフィ「そうね。国民に選ばれた政治家が国を動かす。国家に民も含まれるのなら、それが合理的でしょうね。でもね、アベル君。民主主義は諸刃の剣なのよ」 アベル「どうして?」 ユフィ「時間が経つに連れて、“民主主義は現在ある制度のなかでまだマシな部類だと認識している人たち”よりも、“民主主義の悪い部分を見ずにただ盲信している人たち”が多くなってしまうからなの」 アベル「それの何がいけないんだ?」 ユフィ「いい? 後者はね、大抵自分で考えることをしない人たちなの。与えられた制度や情報を正確だと鵜呑みにしてしまう。つまり簡単に、衆愚と化してしまうわけ。そうなったら、彼らは同じレベルにある政治家を選ぶようになり、その政治家は低レベルな国策を進めるようになるのよ」 アベル「考えすぎじゃないのか?」 ユフィ「そうね。けど、これが民主主義の諸刃の剣なの。国民が賢くなければ、優れた政治家を選挙で選べなくなる。国民が衆愚だったら、低脳な政治家を選んでしまう。民主主義とは多数決だわ。でも、多数決で勝った方が絶対正しいとは限らないのよ」 アベル「…………」 ユフィ「昔、地球の回りを全ての星が動いているとされる“天動説”が正しいとされていたわ。そして、地球が動いているとされる地動説が出てきた。けれど、長い間、多数決で天動説が正しいとされてきたの。そのせいで、地動説を支持した少数は絶対悪だと罵られたわ」 アベル「……つまり、少数意見が正しい場合もあるってことか」 ユフィ「そうよ。そして、問題《政策》を多数決で正誤を選ぶ民主主義における国の民は、常に賢くなければ、問題を間違えてしまい、不幸になる可能性があるってことなの」 アベル「大変なんだね、民主主義って」
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この会話に剣聖を加えて反体制派の話…

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