向いている方向が違う一方通行の想い……最初から恋の成就は願わずただ相手の幸せを思い見つめているふたり。 切なさとほろ苦さにゆっくりと甘さが溶けだす物語。 主人公の仲矢君は、自分のことなど決して見てはくれない副担任の先生を好きになってしまう、恋に対して少し大人びてる高校生。 その先生は長い間片想いをしているひとがいて、でも自らその関係を進める気はなくて。 そんなひとり胸の中に諦念と消えない恋心を共存させている先生を好きになってしまい、先なんて望まない、そう誓いながら想い続ける……不毛だけれどとても純粋な恋を抱えて過ごす仲矢君。 大人びた態度、自制する恋心。でも若さゆえ抑制がきかなくなる瞬間があ
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作中何度も出てくる屋上。 そこは解放的で希望に充ちている場所のようで、その実フェンスを越えて飛び出すことは無謀な行為。 解放と閉塞。そんな気持ちを浮かばせる場所は、先生にとって乱れた心をリセットする大切な場所だったと感じます。 そこへキィと音を立て入り込んで来る生徒……気遣いと、強引さを感じる音。 終盤の屋上シーン。 突然の突風に、軋むドアの音は聞こえず、長くなった髪に視界も一瞬遮られた……そこに香る煙草の匂いとともに現れた先生。この演出に特に心揺さぶられました。 寸前までもう手の届かないものと思っていたひとが傍らにいる。 実は先生は音の立たないドアの開け方を知っていて……静かに想いを募らせ密
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あーるさま 温かいレビューをありがとうございます。雪です。 何度も何度も拝読し、どのたび涙が出てきます。それくらい感激しました。 私がわりとぼかして書いてしまう傾向(好み)があるために、伝わらないかな、でも伝わればいいなと思っていたところが、ことごとく汲み取っていただけていて本当に嬉しかったです。 『せめてその距離で』は、【諦めているけどどうにか救ってあげたいと思っている×諦めているけどどこかで救われたいと思っている】…みたいな二人が、でもそれもまた無自覚でいるためになかなか進展もせず……という焦れったい距離感を書いたつもりのお話でした。 屋上、煙草、身体の距離、心の距離、ドアの音など
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ネタバレへのご配慮までしていただき、本当に有り難うございました!(><
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