第一部 中学一年新学期 町に二つある小学校から入学してきた生徒のなかには知らない子も大勢いる。人と会話が出来ない心優《みゆ》は、初めて言い寄ってくるクラスメイトに打ち解けることなく教室の片隅で愛理《えり》と奏《かなで》にだけ心を許していた。 新しく同じクラスメイトとなった首藤《しゅどう》龍太《りゅうた》は、心優《みゆ》の美貌に好意を抱き、しきりに話しかけたりしはじめる。しかし、龍太《りゅうた》の思惑も空しく心優《みゆ》は龍太《りゅうた》と打ち解けるどころか苦痛としか感じてはいなかった。 そして愛理《えり》は龍太《りゅうた》によって心優《みゆ》が辛いめに遇うことを予言する。 龍太《りゅうた》の心

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