そんな中で一点、ジルベールとミラベラの最初の艶事シーンでの「彼は自分を安く見積もりすぎたのだ」の解釈に、実はまだちょっと悩んでいます。 これはミラベラ視点なので、自分=ミラベラ本人とすると、ミラベラはホントはかなりの高級娼婦で、三万円じゃ足りないというように読めます。 でも、その前のシーンの雰囲気からすると、三万円でミラベラはジルベールの相手をするけれど、彼女からすれば「ジルベールの相手」はもっと価値のあるもの→「彼は自分(=ジルベール本人)を安く見積もりすぎた」という考え、とも取れます。 ただ、実際に支払ってるのはジルなので、この解釈では、ちょっとそこと整合しないような?その前の「これでジ
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レビューっぽいことを書くならば、全体を通して、ジルベールの半生を彩る三人の女性=母、ミラベラ、クラーレットは、それぞれジルの「過去」、「現在」、「未来」を象徴しているなと感じました。「未来」に足を踏み出せば、「現在」はその時点で「過去」となる。本作では母親とのその後は書かれていませんが、物語の冒頭と最後の文章が、物語を円環に閉じているので、きっと再会する家族は過去と形を変えてもなお美しいまま、彼の前に現れるのではないか、と当方は思っています。 そして、過去のジルベールが打ちのめされたように、現代社会の法律のことを考えると、ジルベールとクラーレットの二人組は、これからも大変なことが予想されます
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