2ページ目(その2) ↓  ショウマの脳裏に、七年前のマドカの告白が甦る。   ✳︎ 『ショウマさん。私ね、九歳下の弟がいて・・名前はハルトって言うんだけど。』  あの日。  まだ小学生だったマドカがショウマに語った心の傷。 『私と、お父さんとお母さんの三人で決めた名前なんだけど。』  ずっと見て見ぬふりを決め込んでいた心の瘡蓋に目を向けるのは、痛みを伴うのだろう。彼女は瞳に涙を溜めていた。 『・・ハルト、生まれて三ヶ月で死んじゃった』  避けられなかった弟の死で彼女と彼女の両親は大きな傷を負い、家族の心はバラバラになった。  そして程な

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