職場からの帰り。深夜のコンビニでもこの不気味な隣人に遭遇した。  弁当を選んでいると、雑誌の並ぶ場所にたたずむ。思わずそちらを見たとき、彼が視線を寄越してきた。目が合う。引きずりこまれそうな暗い瞳。悪意も好意も読みとれない無表情な顔つき。私は気づかなかったように体を逸らす。  追いかけてはこなかった。  初めは同じマンションだからと考えたが、頻度が多い。ホテル業の私は泊り仕事もあるし、帰宅時間はまちまちだ。これだけ会うのはどう考えてもおかしい。私に何をしてくるわけでもなく、声もかけてはこないが、気味が悪かった。 ③  五月中旬。  ホテルでの怒涛のゴールデンウィーク勤務を終えて、久し振りの

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