目が泳いだので… 妄想剣客小噺 『剣豪!伊藤デスノシン』  時は元禄、憂き世から浮世と呼ばれ、庶民の暮らしぶりは良くなったが、職にあぶれた下級武士は傘張りや提灯張りなどの内職で食い扶持を稼いでいた。  もしかすると江戸で一番貧乏だったのは下級武士だったかもしれない。  デスノシンもその貧乏侍の一人である、元々は近江国水口藩甲賀の生まれであったが、藩主・加藤明秀の昇進に伴う藩主交代とと長きに渡る世の太平により諜報機関の甲賀組は瓦解していた。 「こんなにも仕事にありつけねぇとは、このままだと国一番の剣豪と謳われた腕が錆びつく前に餓死しちまうぜ…」 コレか 何でもかんでも「ですです」言
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