② ただ……。 ここから見えるのは、門前の色づいた楓のみだ。総門は見事にピッチリと閉じられている。 「侑志、どゆこと?休みなの?」 いつもより、少しだけおしゃれな汐那姉ちゃんは、スニーカーにレトロ調のぶかっとしたボトムスに、ライトブラウンのオータムセーターだ。 「どゆこと?って聞かれてもねぇ。 汐那姉ちゃん、止めたのに聞かなかったじゃん。 ほらこれ!」 スマホの画面を見せて、その内容を確認させた。 「えー? 何?世界遺産なのに、いつでも参拝できる訳じゃないの? しかも、往復はがきで事前申し込み? てか、あんたしてないの? なんで?」 何を言ってんだ。 そんな時間どこにもなかっ

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