④ そう言った事を、徐々に頭をぐらぐらと揺らし始めている汐那姉ちゃんに伝えたんだ。 「侑志ぃ〜! あんた詳しいわねぇ〜。 何?京都人なの?」 「んなわけねぇじゃん。 一緒に育ったじゃん! 知り合いがいるんだよ。京都人の」 そんな言葉はもうすでに届いていない様子で、 「苔寺!あそこに行きたい!苔寺〜!」 「いや、あそこは事前申し込みがさ……」 と言ったものの、その言葉はもう届いてはいなかったんだろうな。きっと。 その3日後に新幹線に乗って、京都駅から京都バスの苔寺行きに乗り、終着駅で降りて、竹林に囲まれた地蔵院の清涼さを味わってから、長蛇の列の鈴虫寺を参拝した。それから、苔寺の

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