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当然、死神はそれを見逃す訳が無い。
だが、最後の一人という事で、多少ゆっくりと愉しみながら殺す事にしたようだ。
まず、逃げる兵の後ろまで、瞬く間にたどり着く。
そして、右足を斬りおとす。
片足を失い、走る事はおろか立つ事すらままならなくなっ兵は、その場に倒れこむ。
片足を失った、というまさに身を裂かれる激痛に耐えながらも、這いつくばって逃げようとする。
恍惚とした笑みを浮かべた死神は、ゆっくりと鎌をもう一度振り下ろす。
何の躊躇いも無く。
その姿はまるで、虫の手足をもぐ子供のようなものであった。
「がああああぁぁぁぁああ」
余りの激痛に声が漏れてしまう兵。
それでも逃げようと、必死で無傷の腕を使って逃げようとする。
所詮、自分の行為が無駄であると自覚しながらも、兵は生存本能に従い、芋虫のように這いつくばって逃げようとする。
その姿を愉しそうに笑いながら眺めている死神。
最早これは戦闘では無く、一方的な虐殺へと変わっている。
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