一夜明けて

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死神はかろうじてその一太刀を回避する事に成功する。 「っく……」 死神はそのまま魔法で天井に大穴を開けて、飛び去って行く。 「待って! ジクト!」 シーナは死神へ向かって叫ぶが、その言葉は彼の耳には入らない。 漆黒の空に溶けて行った死神を、シーナはずっと見つめていた。 この日以来、死神は姿を現す事が無くなり、ユエルア家は死神を退治した英雄として一躍有名になるのであった。 死神の行方は、誰も知る事は無く、死亡説など諸説流れたが真実を知る者は誰一人としていなかった。 だが、死神の残した恐怖は根深く人々の記憶に刻まれ、五百年後まで伝えられることとなったのだ。
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