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バッと李花は飛び退いた。弾みで、膝の上に乗っていた弁当がバラける。
勿体無いと一瞬思ったが、そんな場合ではなかった。
今、喋ったぞコイツ。それもかなり流暢に。普通に。さもアザラシだって当然喋りますよと言わんばかりに。
冷静にツッコミのテロールが流れる。
しかしそんな頭の中とは裏腹に、李花の開いた口は塞がる事なく。
…そして当のタマちゃん(?)は、それを見てようやく…。
「…はっ、しまった!!!喋ってはいかんのだった!!」
「遅いッ!!!」
思わず突っ込む李花。
慌てふためき、青ざめるタマちゃん(?)…いやもとい、謎の喋るアザラシ。
彼はワナワナと身体を震わせると、徐に水からあがって来た。その体系は、どう見たってアザラシだった。
ふ…とアザラシは寂しそうに笑う(アザラシのくせに、だ)。
「アンタみたいないい人に、俺の正体バレちまうだなんて…そして、始末しなきゃならないなんて…」
「……は、はぁ…?」
李花は、極めて遠慮がちに首を傾げた。
そして目を見張った。
みるみる内に、アザラシの身体が肥大していくのが解る。そして牙が伸びていく。
その上あろう事か首から下がボブ・サップみたいになっていく。仕舞いには、橋の下に頭がついてしまう程巨大化してしまった。
…いや、これはもう巨大化ではすまない。
怪物化だ。
アザラシ(?!!)は大きく腕を回すと、思いっきり地面を殴りつけた。
メキっと地面が変な音を立てる。その直後、半径10mくらいに震度6はあろう揺れが襲いかかった!!
「っ?!!」
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