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李花に驚く間も与えず、アザラシ(?!!)は大声で吠えた。
「我が名はタマゴン!!!2002年の世から地球を狙っていた、サブマリン星よりの使者也ッ!!!」
………。
んな馬鹿な。つーか有り得ねぇ。
あくまでツッコミは冷静な李花。しかし、その目はかなり見開かれている…。
驚いている、どころでは表現が追いつかない程に本っ当に驚いているのだ。
何だって?タマゴン?サブマリン星?…ダサい名前だな。
…え、地球狙ってた?
いやいやいや。何スかいきなり。
TVゲームの世界?特撮の世界?…や、これ現実みたいだねぇ。
あ、ていうかコイツさっき…「始末」って言った?…言ったね。
…始末…。
…。
…え、殺されるんすか?!!!
「せめて…せめて苦しまぬ様、一撃で葬ってくれよう!」
いきなり言葉遣い変わっちゃってるよこのアザラシ星人。
それは置いといて、そんな勝手な事を言いながらタマゴンはにじり寄って来る。
…これ、もしかして凄くピンチ?
タマゴンが一歩寄る度、李花は一歩後ろに下がった。これは…逃げても、多分、無駄なのだろう…。
何故なら李花の後ろは緩やかとはいえ草の生えた斜面で、絶対的に速度は落ちるからだ。
50m走を7秒前半でコンスタントに走れる李花だが、流石に逃げ切れるとは思えなかった。
力強く拳を固めると、タマゴンは李花にそれを向けて構える。
自分、即死するのだろうか。
李花がそう思ったか思わなかったか、タマゴンの腕が勢いをつけて振られる!!
「…待って下さいッ!!」
そんな声がした。そして大きな音も聞こえた。と同時に、李花は無意識の内に閉じていた目を開く。
まず最初に映ったのは、見事宙を舞うタマゴンの姿。
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