白羽 李花の憂鬱。

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「田上くん格好いいじゃん!!バスケ部で1年の時からエースだったし!!」 「顔も芸能人並だし!!何でぇ?!!」 「あー…ウルサイ」 李花は顔を顰めて耳を塞いだ。 友人らが黙るのを待って、それから口を開く。 「クラスもかなり離れてて、話した事一度もないし。それなのに何でオマエは私を知ってんだって感じだし。私の何処をどうやって好きになったんだと。アイツなんぞよりまだチワワの方が恋愛対象として見れる」 「…………」 友人達は顔を見合わせて首を振った。 李花は自分が美少女として学校中、いやこの辺一帯中で名前が売れている(ついでに此処だけの話、携帯画像も出回っている)事など全く知らないのだ。 それにこの何処か男っぽさ漂う性格の所為もあり、寄ってくる男どもを面倒だとしか思っていない。 折角モテるのに、勿体無いなぁ…と密かに溜息をついた友人。 その直後、ふと1つの机を指差した。 「朱島くん、また来てないね」 空席の、出席番号1番の席。 その席は2年になって以来、まだ誰も座っていなかった。 「朱島…あー、朱島 敬矢(アケジマ ケイヤ)くん?そういえばまだ、一回も見てないね」 「ずっとお休みなんだもん。先生も何も言わないし…何でだろ?」 「サボりか、入院でもしてんのかな」 まだ一度も見た事のないクラスメートの話題に花咲かせる友人達。 それをチラリと横目で見やると、李花は徐に立ち上がった。え?と彼女達は李花を見上げる。 「何処行くの?今からお弁当食べるんでしょ?」 「食べるよ。川原でね」 昼からの授業はサボるから、宜しく。 李花の目は、明らかに友人達にそう語っていた…。
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