ヒーロー見参?!

2/8

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
よく晴れていて、草の上は心地よい。 群生したクローバーの上に腰を下ろすと、お弁当を取り出し膝の上に乗せた。 李花は7歳上の兄と2人暮らしだ。 物心ついた時から既に両親はおらず、その兄と共に親切な従姉妹の家出育った。そして兄が義務教育を終えると共にその家を出て、兄妹2人で生活を始めた。 勿論、これでも結構色々な苦労をしてきた。 しかし兄も李花も、それを然程苦には思っていない。寧ろかなり自由でイイなぁと思っているくらいだ。 …まぁ、ただ1つ李花が苦に思う事と言えば、兄がかなり重度のシスコンという事で。 この弁当もまた、そんな兄が妹可愛さに毎日早起きして作っているもの。 そろそろ食べるとしよう、そう思った李花が弁当を開けたその時!! 「………んっ?」 川の中に、何か見えた。 灰色の丸っこい、何かの頭みたいなモノが…生物、だろうか。こっちに向かってくる。 ……何やら、微妙に懐かしいシルエットだ……? 丸く愛らしい瞳。灰色のツルッとした身体。ピンピン跳ねたヒゲ。 そう…2000年代初期、東京の多摩川に現れ人々を騒がせたあの人気者!!! 「たっ…タマちゃんッ?!!!」 おいおい何年前の話だよタマちゃんて!!しかも此処、多摩川じゃないし!!有り得ねぇ!! 李花の頭の中を、様々なツッコミが駆け巡った。 だが、その間にもタマちゃん(?)は可愛さを振り撒きながらスーッと泳いでやってくる。着ぐるみじゃないよな…とじっく
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加