ヒーロー見参?!

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やがてタマちゃん(?)は李花の目の前でピタリと止まった。 やたら人馴れしてないか?と李花が怪しむより先に、両ヒレを水上に出して顔の前でパタパタ振り始める。…もしかして、餌ねだってる? 「…何処の水族館から逃げてきたの、オマエ」 いくら何でも人馴れしすぎだ。 野生である事は有り得ないだろう…それとも本当にあのタマちゃんで、何年もいる内に人に馴れてしまったのだろうか? いや…アザラシの寿命って何年だっけ…?それにもう、TVとかで見ないぞ? 怪しく思いながらも、李花は自分の膝の上の弁当を眺めた。 おにぎり、卵焼き、ポテトサラダ、ウィンナー、鮭の漬け込み焼き…アザラシが食べそうなものとは、何だろう。 …やっぱり魚だろうか。李花は鮭を選んで摘み上げた。 途端に、水面をバシャバシャ叩いて喜び始めるタマちゃん(?)。やっぱり魚好きらしい。 「ほれっ」 ぽん、と軽く投げてやる。するとタマちゃん(?)は少しだけ水面からジャンプし、見事空中でキャッチして見せた。 そして鮭を銜えたまま岸に泳ぎ着き、ムシャムシャ食べ始める。 それを見て小さく笑うと、李花もウィンナーを1つ口に入れた。アザラシと一緒に弁当食べたなんて言ったら、友人達は一体どんな顔をするだろう? 想像するだけで楽しくて、李花は微笑ましそうにタマちゃん(?)を見やって声をかけた。 「美味しい?それとオマエ、小骨とか大丈夫?」 「あ、全然大丈夫っスよ。かなり美味いっス」 ………………。 ………? !!!!
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