第二章~リール市街地戦 後編~

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米軍・フランス軍の両兵の士気は下がる一方であった。この状況下で勝利する事は、ほぼ不可能に近かった。 〔2月18日0845時。リール市街地。大通り〕 「第3小隊は、何処にいった?」 「連絡が途絶えています。」 戦いが始まって第3小隊からの連絡が途絶えてしまっていた。 「やられたのか?」 「わかりません。」 その時、上空に照明弾が上がった。そして第3小隊からの連絡が入る。 「“敵の背後に回った。攻撃を開始してください”」なんと第3小隊は、敵戦車部隊の背後にいたのだ。 見事、挟み撃ちに成功したのだ。 「よし。全軍攻撃開始。前方に火力を集中せよ」 米軍とフランス軍両戦車隊が一斉に攻撃を開始した。「撃て!撃ちまくれ!」次々と帝国軍戦車が撃破されていった。 〔リール市郊外。帝国軍指揮車。車内。〕 「馬鹿な!我が軍が押されているだと!」 「第4、第5戦車隊壊滅的打撃を受けています。」 「小佐、レーダーに敵航空部隊を確認。」 〔リール市街地。大通り〕「“こちら第7航空部隊。救援要請を受けた。我々は、航空部隊を相手にする。地上は、任せたぞ。”」 それは、航空部隊からの通信であった。 「了解した。」 味方航空部隊の到着により戦況が大きく変わった。 〔リール市郊外。帝国軍指揮車。車内。〕 「くっ、劣勢だ」 「小佐、本部より撤退命令が出ています。」 「撤退だと!?なぜだ?」「イギリス軍が上陸。周辺一帯を制圧した模様。」 「退路が断たれる、という事か。各部隊に撤退命令を知らせろ。」「了解。」 〔リール市街地。大通り〕「敵が撤退しているぞ。」「“こちら航空部隊、敵部隊の撤退を確認した。”」「“こちら本部、確認した。作戦は成功だ。”」 帝国軍が撤退していく。激戦の末、米軍とフランス軍は勝利を掴んだのだ。 〔3月5日。モスクワ市。帝国軍総合司令部〕 「リール地方での敗北によってベルギー地方の防衛戦力が不足しています。」 「ベルギー地方を放棄せよ。部隊は、オランダ地方まで撤退させるんだ。」 「はっ!」 〔3月20日アントウェルペン市。米軍基地。作戦会議室〕 「ウィリアム小尉、よくやった。先の戦いの勝利は、第3小隊の活躍があったからである。そこで新たに任務を与える。米英仏の三国連合軍は、オランダ地方に向け進撃を開始する。第3小隊は、第7・第8中隊と合流。マース川を突破しユトレヒト市を占領してもらいたい。」「了解。」 第3小隊の活躍が今、始まったのである。
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