黎明編

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近所の本屋で、彼はなんとなく、本当に偶然に一冊の本を手に取った。『麻雀をはじめる人のために』という文庫サイズの入門書。この時、例えば『ガーデニング入門』やら『月間少林寺』なんかを手に取っていたら、彼の人生は別のものになっていたのかもしれない。麻雀にタラレバはないが、人生も然りであろう。とにかく彼は今までその名称しかしらないゲームの入門書を持ってレジに向かったのである。 翌日下校途中の電車の中でその本を読んでいると、同じ小学校から進学した数少ない友人Iが、『俺、麻雀できるで』と話しかけてきた。小学校からの付き合いだが、Iが麻雀ができるなんて初耳である。Iも家族麻雀でしか麻雀をしたことがないとのことで、何人か友人誘ってやってみよう、という話になった。
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