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普通、ありえない光景。
空から人が降ってくるなんてことはまず無いから当たり前なのだけれど。
「ぅああぁあぁ!!!」
でも、上から降ってくる人の形をした何かは叫んでいるのだからあれは間違いなく人だろう。
急いで落下地点に向かおうと、ジープはフルスピードで走る。途中、車体がおもいきり跳ねた時に、悟浄はジープから落ちそうになったが何も言わない。それほどまでに、事態は急を要するのだ。
「悟浄!!」
「ああ!!」
ジープが丁度人影の下へとたどり着いたら、八戒は悟浄に受け止めるよう促す。分かっている、とでも言うように悟浄も返事を返した。
だんだんと近づいてくる影は、小さなものだった。声から察してはいたが、だいたい10才前後の長い茶髪の少年。目はぎゅうっと瞑られていて、地面にぶつかると思ってでもいるのだろう。
その少年を受け止めようと、悟浄が構えていた時だった。瞬間、太陽の光をキラリと反射させた“あるもの”が悟浄の視界に入ってきた。
「は?」
ドォォォン!!
悟浄の間抜けな声と、少年が落ちてきたタイミングは全く同時だった。
少年の額に輝くものを見て、固まった悟浄の上に、見事に少年の体がクリーンヒットした。
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