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「――ッ~~!!」
もちろん少年の下敷きとなった悟浄へと負担はかなりのもので、必死で痛みをこらえる。
……が、それも長くは続かない。
「~~重いんだよッ!!いつまで乗ってやがる!!」
その少年の歳には重すぎる体重に圧迫され、半ば逆ギレで怒鳴る。
「え!?わっ…!!ゴメン!!」
頑なに目を瞑っていた少年は、漸く自分が助かった事に気づいたらしい。慌てて悟浄から飛び退いた。
「ほんとゴメンな…。大丈夫?」
「…大丈夫ですよ。この人の場合。」
でも、俺重いから…。と言ってシュンと少年は落ち込む。そんな少年に八戒はさらに言葉を続ける
「ゴキブリは生命力だけは立派ですから。本当に大丈夫ですよ」
「おい…。」
「はは、なにそれ。」
先程と違い楽しそうに笑いだした少年。悟浄は自分を笑われている気分になり、文句の1つでも言ってやろうと少年のほうへと振り向く。……と
「!!??」
悟浄はそのまま固まってしまった。それもそのはず。
笑顔でニコリと笑っている少年は、特徴的な胡桃色のくせ毛に金色の金鈷をつけていて、笑っていた目を開いたら見える瞳は金晴眼。
発せられる声は男性にしては高めのボーイソプラノ。
紛れもなく、現在行方が知れなくなった孫悟空そのものだった。
…それにしては背が低く、知っている彼よりも幼いが、唯一無二の存在とされている金晴眼なのだから彼以外は考えられない。
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