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「……どうされましたか?観世音菩薩。」
観世音菩薩の声を聞いた側近である二郎神が尋ねる。すると観世音菩薩はとても楽しそうに
「いや?面白いことになったな」
そういうのだからサーと血の気が引いていく。それもその筈。この神様が言い出した面白いことは今まで録な事が無かったのだから…。
「一体何が……」
聞きたくはないのだがつい聞いてしまった二郎神は軽い後悔をしながらも観世音菩薩の言葉を待つ。すると観世音菩薩から投げ掛けられた言葉はとんでもないものだった。
「いや、暇だから遊んでいたら下界と天界の時空の間に歪みが発生しちまったんだよ」
それは遊ぶのレベルではないだろう!!
ツッコミたい気持ちを抑えて詳しいことを聞こうと更に問いかける。
「ど……どのように?」
「まぁぶっちゃけ500年前の天界と現在の下界との間に時空移動のルートが完成しちまった♪」
「500年前と言えばあの時ではないですか!!は、早く修正を「出来ねぇよ。だからさっき“あっ”って言っただろうが」
明らかに、仕組んだものだと、確信付けられる口調にいっそ気絶した方が楽なんじゃないかと二郎神は思う。
「さ~て、直るまでの間は様子でも見るか♪」
「観世音菩薩~~!!!」
全くもって不幸なオッサンの叫びが部屋中に響きわたった。
だから
「俺にはこれが限界だ。頑張れよ、チビ」
自嘲気味の表情とそれに似合わぬ柔らかな声音で呟く観世音菩薩に、誰一人として気づくものはいなかった。
「勘違いするな。ただの―――暇つぶしだ」
自分に言い聞かせるように、呟いた声は、ざわめく風の音と共に消えていった。
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